※ PERが低い→必ずしも割安ではない!
※ PERはEPS成長率とセットで考える!
■まず基本中の基本から!
株価=EPS✕PER
↑の式から株価を押し上げるためには、EPS(一株益)もしくはPER(株価収益率)のどちらかが上昇する必要があることがわかる。
■考え方①
PERが成長率を下回ったときに買う!
ピーター・リンチは以下のように述べている。
もしPERが成長率より低ければ、それはバーゲン価格である。
仮に年率12%で成長する会社があるとして、そのPERが6倍なら大いに魅力的である。
一方、成長率が6%でPERが12倍ならこれは魅力に欠けるし、いずれ株価は下がるだろう。
一般的に、PERが成長率の半分だときわめて魅力的だし、PERが成長率の2倍なら非常に危ない。
ウォール街の多くの投資家は「EPS成長率とほぼ同じ程度のPERなら、払っても良い」と考えている。
■考え方②
EPS成長率を考えたとき、妥当なPER水準とはどれくらいか?
EPS成長率が20%で、PERが20倍以下とか、そのような具合。さらに PER<EPS成長率−5% であればもっと安心して買い向かうことができる。
たとえば、成長率が12%のときはPERが7倍(12-5=7)ならば安心ということ。(実際には極わずか)
■考え方③
<PERが低い→必ずしも割安ではない! PERはEPS成長率とセットで考える!>
PERは一般的に銘柄の人気度、そして割安、割高の判断をする指標になる。多くの人は<PERが低いほど割安でPERが高いほど割高だ>と覚えている。しかし、それは誤り!成長株投資において、PERを使うときは<EPS成長率>とセットで考える必要がある。どういう意味か?
二つの銘柄がある。
銘柄A:株価1500円 EPS100円 PER15倍
銘柄B:株価2000円 EPS100円 PER20倍
<銘柄A>と<銘柄B>のどちらが割安か?
ここで、即座に<銘柄Aが安い!>と思ってしまった場合は危険!上記の比較ではどちらの銘柄が割安であるのか判断がつかない。では次の通り<EPS成長率>を条件として付けたらどうなるか?
銘柄A:株価1500円 EPS100円 PER15倍 EPS成長率5%
銘柄B:株価2000円 EPS100円 PER20倍 EPS成長率20%
割安なのはどちらか?
正解は<銘柄B>。一見するとPER15倍の<銘柄A>が割安そうに見えるが、実際にはPER20倍の<銘柄B>の方が割安と言える。両銘柄の違いは<EPS成長率>。上記のように<EPS成長率>が違う場合、各銘柄の未来の指標に一体何が起こるのか?わかりやすく表を使って見てみよう。

上の表のPERの列を見ると、<現在>では<銘柄A>の方がPERが低いが、<銘柄B>が<EPS成長率20%>で推移すれば、3年後以降のPERは<銘柄B>の方が割安になる。<PERという指標はEPS成長率によって、将来変化する>。そのため、単純な現在のPERの比較は当てにならないということ。冒頭で述べた<成長株投資において、PERを使うときはEPS成長率とセットで考える必要がある>というのはこれが理由。
株価はどうなるか?
銘柄Aの株価は現在1500円。EPSが毎年5%成長すると5年後の株価は1920円と1.28倍とる。一方で、銘柄Bの株価は現在2000円。EPSが毎年20%成長すると5年後の株価は4980円であり、なんと2.49倍にもなる。(※銘柄A,Bともに、5年後現在と同じPER水準と仮定)
つまり、割安なだけではなく将来的な株価上昇をより一層見込めるのも銘柄Bとる。このようにしてEPSとPERを使って将来の株価を推論することができる。
■参考までに<EPS成長率>を変化させたときの<将来PER>を表にしてみた。
表から<EPS成長率15%>だと5年後のPERは約半分の7倍となる。ということは、仮に5年後現在と同じPER水準と仮定した場合<5年後の予想株価はEPS201円✕PER15倍=305円>と計算できる。
