米景気や相場の先行指標とされるのは、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)やダウ輸送株平均が多いが今回はSOX指数とS&P500の相関を調査してみた。(2021.4.13記)
■結論→強い相関あり(相関はあるがSOXでS&P500の先読みはできていない。。)
つまり半導体需給の先を見ればS&P500の先が読める!
半導体は世界製造業の頂点の産業であるため。(ページ下部にピラミッド図あり)
相関を調べたるサイト>>>投資の森 TradingView
【半導体についてのポイント】
・半導体産業は全製造業の2%しかないが「小さな巨人」。
・CAMBRIC関連に不可欠な半導体。(ビットコインのマイニング向け、サーバーストレージ向け需要なども)
※「C」はクラウドコンピューティング、「A」はAI、「M」はモビリティ、「B」はビッグデータ、「R」はロボティクス、「I」はIoT、「C」はサイバーセキュリティ。
・半導体業界は変化が激しく技術革新の影響を受けやすい。
・製品の入れ替わりとともに需給バランスが崩れやすい。
・「シリコンサイクル」と言いう好不況を繰り返す。
・2018年12月、半導体売上の増勢に陰りがみられ「シリコンサイクル」が減速局面に移行したとの見方があった。
・2018年12月、「スーパーサイクル」と言う従来のサイクルを飛び越えたサイクルの始まりだった。(2021.4.13現在)
・半導体産業、半導体メモリは波の大きいビジネス。誰もが強気で半導体メモリの好調が続くと思っているときに突然ピークアウトし、半導体不況の大底から、突然、急回復が始まる。
半導体業界が好調だと日本の製造業の景気もよくなることの裏付けがページ下方の記事からわかった。



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https://jp.tradingview.com/chart/i7QsNJuw/
■<半導体価格や関連会社の株価が株全体の値動きを先取りしている>のはなぜか?
パソコンや家電、自動車など半導体の購買担当が景気の流れを敏感に察知し、在庫管理を徹底。それが需給関係や企業業績に迅速に表れるケースが多いため。
実際、半導体ICが商品化されると、これから最終機器に組み込まれ、使えるかどうかの検討がなされ、使える場合には機器に組み込まれる。購買担当の検討が終わると、機器の量産設計、量産開始へとつながり最終機器が消費者の手元に届くまでに1~2年かかる。だからたいていの場合、組み込まれた機器に使われている半導体製品は古い設計のものが多い。一方でインテルのAtomのようにパソコンの設計段階から購買担当と一緒に評価している場合はその期間がもっと短い。
かつては半導体の購買担当は電子機器メーカー、すなわちエレクトロニクスメーカーであった。しかし、今や半導体は輸送機器メーカーである自動車、航空機に入り、精密機械である複写機やロボットにも入る。花札の専業メーカーであった任天堂が半導体の塊であるゲーム機を作り、楽器メーカーのヤマハが半導体の塊である電子ピアノや電子楽器を作る。また、RFIDやセンサーネットワーク、IP電話機などはそれらの使い方やサービスとして農業や流通業といった分野にまで入り込み、その電子機器の心臓部が半導体チップとなっている。
半導体はかつて、産業のコメといわれたことがある。しかし、この表現は的確ではない。今や米がなくてもパンがある。麺がある。ジャガイモがある。代わりはいくらでもある。半導体は米ではなく、心臓になってきている。半導体を使わないで道具を実現することはもはや困難になっている。半導体は米ではなく心臓、キモなのである。
■SOX指数とは
米国の主要な半導体関連銘柄で構成された株価指数。日本語ではフィラデルフィア半導体株指数と呼ばれ、全部で30銘柄で構成されている。SOX指数を見れば、米国の半導体関連銘柄の状況が分かる。一般的に半導体業界が好調だと、景気が良いと判断される傾向がある。
日本株への影響も大きい。世界の半導体市況に対する市場の見方を反映しているため、日本の半導体関連銘柄の株価も上下させる。足元の半導体市況は、高速通信規格「5G」関連向けやデジタル化に欠かせないクラウドサービス、データセンター向けの半導体と半導体製造装置の需要が急増している。
半導体市況には、一般的には4年ほどのサイクルがある。最近のデジタル化の流れ(人工知能(AI)、仮想現実(VR)、5Gなどの普及)など社会構造の変化に伴い需給サイクルの構造的変化が起こるとの見方もありる。
■半導体業界が好調だと日本の製造業の景気もよくなることの裏付けが下記の記事からわかる。
①<2021.2.24:半導体「スーパーサイクル」が止まらない!受注急増で恩恵は工作機械・要素部品にも>
DMG森精機の森雅彦社長は、「半導体製造装置メーカーからの引き合いが非常に強い」。半導体関連需要の旺盛ぶりを強調する。子会社2社が開発する半導体向けのレーザースケールや自動検査装置も「絶好調で、しばらく大変忙しい」
オークマは、「門型マシニングセンターや複合加工機から小型旋盤まで幅広い製品で引き合いが急増している。半導体関連向けではリーマン・ショック前に迫る活況」(営業担当者)という。半導体製造装置の複数の部品サプライヤーから発注が集中し、コロナ禍に伴う休業を終了して増産対応をしている。
住友重機械工業は、約110億円を投じて、半導体の製造工程で使われるイオン注入装置の新工場を愛媛県内に建設する。第5世代通信(5G)や人工知能(AI)の普及に向けて半導体市場が成長するとにらみ、生産能力を倍増。22年8月の稼働を目指す。米中貿易摩擦の影響が懸念されるものの、「最終的に半導体市場は伸びていく」(下村真司社長)とみている。
機械要素部品メーカーにも追い風が吹く。
CKDは、半導体製造装置に使われる電磁バルブの受注が好調だ。半導体向けが約3割を占め、空圧機器やセンサーを含む機器事業の20年10―12月期の売上高は248億円(前年同期比6・5%増)に拡大。21年1―3月期は248億円(同9・3%増)と、さらに伸びる見通しだ。春日井工場(愛知県春日井市)と、19年に完成した東北工場(宮城県大衡村)では一部で2直勤務を続けている。
日本トムソンの宮地茂樹社長は、「生産が追いつかないほどの受注がある。大きな成長が見込める」と期待を隠さない。別の機械要素部品メーカーは「12月以降は中国をはじめ各地から受注が急増している」と指摘。少なくとも半年程度は需要が堅調に推移するとの見通しだ。
半導体関連需要が活況に沸く一方、「工作機械の生産に必要な部材が半導体製造装置に持って行かれている」(ソディックの古川健一社長)。ソディックでは生産に影響が出るほどではないものの、アクチュエーターなどが「足(調達期間)が長くなり始めている」(同)という。
オークマは、工作機械のコンピューター数値制御(CNC)装置に使う半導体が「20年半ばから早めの調達に動いている」(広報担当者)。DMG森精機も工作機械用操作盤向けの半導体は「十分に確保できている」(森雅彦社長)という。
②<2021年02月15日:半導体「スーパーサイクル」で中小企業も活況!メッキやバルブ、検査装置、金属加工などに恩恵の波> web魚拓
半導体市場の活況が止まらない。好不況を繰り返す「シリコンサイクル」から、拡大を続ける「スーパーサイクル」に転じたともされる半導体産業が、中小企業にもチャンスをもたらしている。
清川メッキ工業(福井市)はハイブリッド車などに使うパワー半導体デバイスのメッキ需要が伸び、2022年2月完成をめどに本社近隣への新工場建設を決めた。「1年ずれて需要の山が来た」(清川肇社長)。
半導体製造装置用精密バルブで最大手のフジキン(大阪市北区)は、日本とベトナムなどで生産拠点を分散・増強し、部品の内製化を進めている。22年にはベトナムに研究開発拠点も開設する。野島新也社長は「米中対立が続くと半導体業界はリスク回避のため、サプライチェーン(供給網)を米中のそれぞれに築こうとする可能性が高い」とも予測。こうした供給網の多様化による精密バルブの需要増も視野に入れる。
応用電機(京都市左京区)は約24億円を投じ、半導体や電子部品の検査装置などの新工場を神奈川県大和市で22年4月に稼働。既存の相模原工場(相模原市南区)の設計・生産を移管、増強し、人材も倍増の100人規模まで拡大する。
フクダ(東京都練馬区)は、ウエハー上の電気的特性試験装置の付属製品や、水晶振動子の試験装置の好調な販売が続く。設備導入を2023年度中に終えられるよう製造部門は忙しい。坪田測器(神戸市西区)は半導体製造装置向けの基板実装が増加。基盤実装・組み立てなどの生産ラインを1ライン増設する計画だ。
受託レーザー加工のレーザージョブ(埼玉県戸田市)は「半導体関連事業は好調。昨年半ばから継続して注文が多い」(山口佳孝社長)。半導体製造装置の部品加工を手がける埼玉プレーナー工業所(埼玉県川口市)は20年9月から受注が増え始め、1月の受注量は前年同月比50%増。人材拡充や工作機械導入など生産体制の強化を検討中だ。「これまでになく忙しく、複数社から従来の数倍の生産依頼がきている」(鈴木憲一郎社長)。
ニッセー(山梨県大月市)はボールネジ転造に使う転造機を手がける。新仏利仲社長は「半導体製造装置への参入も増えている。同装置に多数使用するボールネジを内製化する動きがあり、転造機を新規導入する顧客が出てきた」と話す。
村上精機(堺市堺区)の村上周三社長は半導体製造装置向けの高精度組み立てや部品製造について、「3月から22年いっぱいにかけて忙しくなりそう」という。
サンコー技研(大阪府東大阪市)は家庭用空調機向けパワー半導体用放熱基板の精密加工を手がけ、国内は巣ごもり需要、外需は中国向けが好調。
ヒメジ理化(兵庫県姫路市)は半導体製造装置向け石英ガラス部品を製造。赤錆充社長は「半導体はあらゆる分野で使われる。長い目でみたら、好不況の波は少しずつ無くなってきつつある」とみる。
金属切削加工のトク・テック(東京都大田区)も受注が好調で、このまま増勢が続くなら増設や中期的には新工場も検討するが「米中貿易摩擦で落ち込んだ分が元に戻ってきているという印象」(押康一専務)という。
NBファスナー工業(大阪府八尾市)も「そこまで活況の影響は出ていないが、遅れて波はやってきそう」(西出倫明社長)とみる。
金属加工の北口精機(大阪府大東市)では前年比で増えた品目はあるが、トータルでの変化は大きくないとし、増産や設備投資の計画は現時点でない。
■半導体産業は全製造業の2%しかない!しかし、「小さな巨人」なのだ!
~わが国輸出額の約10%を占めるサプライチェーンの中核~(2013/5/31)
から抜粋 web魚拓
半導体産業は世界全体で見ても約30兆円市場で、必ずしも大きな産業ではない。しかしながら、すべての産業の心臓部分となる知的財産を担っており、半導体のもたらすインパクトはとてつもなく大きい。


■他の参考記事
【世界経済】半導体はスーパーサイクルか? web魚拓