(7)NYダウの株価最高値更新は採用銘柄にからくりがある

2021/01/24

いまのコロナ禍の異常な株高をリードしているのは、紛れもなく、米国のNYダウだ。史上最高値を更新し続け、3万ドル台をキープ。その余波で日本の株も買われ、連れ高になっているのだが、そもそもNYダウは上がり続ける仕組みになっている。

 NYダウは、正式には「ダウ・ジョーンズ工業株30種平均」というように、採用されている銘柄はたった30銘柄。日経平均の225銘柄と比べても圧倒的に少ない。この少ない構成銘柄を随時入れ替え、指数が上昇するように仕組まれているのがNYダウの正体なのである。どういうことかというと、すでに成熟し、株価の上昇の見込みのないオールドカンパニーは採用銘柄から外し、それに代わり、業種や指数に配慮しつつ、株価の上昇が見込める勢いのある成長企業を積極的に取り入れてきた。

 代表的な例を挙げれば、発明王エジソンが創業したGEや、日本のNTTにあたる通信最大手AT&Tは成熟企業としての外され組。直近の昨年8月の入れ替えでは、石油メジャーのエクソン・モービルも退場を迫られた。

 代わりに、インテルやマイクロソフト、アップルなどの勢いのあるハイテク株が採用されてきた歴史がある。そう、新規採用銘柄はなにもNY証券取引所の上場銘柄に限らず、新興のナスダック市場からも積極的に採用している。

 こうして銘柄入れ替えが頻繁に実施された結果、いまは採用銘柄のほぼ半数の14銘柄が2000年以降に採用された企業になっている。これなら、上昇一途も当然。この48年間でNYダウは1000ドルから3万ドルと30倍の上昇になったが、ウラ側の事情を知れば、納得だろう。

 同時に、NY株に比べ、日本の平均株価はまだ30年以上前の水準にも戻らないのは225銘柄もあり成長力が鈍った企業をいつもでも残しているのも原因の一つと言えるだろう。

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